後見制度とは

法定後見制度について

法定後見制度について

本人の判断能力の程度に応じて
補助・保佐・後見の3つの類型に
分けられます
これら支援する人をそれぞれ補助人・保佐人・後見人といい
総称して後見人等と呼びます。

法定後見制度の3つの種類(類型)

法定後見制度の詳細

「補助」の詳細

対象となる方

支援を受けなければ、契約等を理解し、判断することが難しい場合がある方

  • 軽度の認知症と診断された方
  • 軽度の知的障害または精神障害のある方
  • 高齢に伴い物忘れがあり、判断能力が減退し援助が必要な方など

補助人の役割

  1. 本人がしたい一定の法律行為を一緒に考え助言し同意することができます。
  2. 一定の法律行為について本人がした行為を取り消すことができます。
  3. 一定の法律行為について本人を代理することができます。

一定の法律行為の例

  • 不動産の賃貸借契約や管理
  • 不動産の売却
  • 遺産分割協議

補助人の役割は本人単独でするには不安であると思われる一定の法律行為について同意権・取消権・代理権を行使することによって、本人の重要な取引行為などを支援します。

  • 一定額を超える取引(例えば10万円以上の出費を伴う取引等)
  • 預貯金の管理 etc

「保佐」の詳細

対象となる方

支援を受けなければ、契約等を理解し、判断することができない方

  • 中程度の認知症と診断された方
  • 中程度の知的障害、精神障害のある方 など

保佐人の役割

  1. 民法第13条※に定められた法律行為について本人の法律行為に同意したり、本人のした行為を取り消すことによって、本人が不利な取引をしないよう支援・保護します。
  2. 保佐人は当然には本人を代理することができません。しかし本人の状況によっては一定の代理権を保佐人が持っているほうが本人の支援・保護になる場合があります。また民法第13条の法律行為以外でも本人が単独ですると不利益を被ることが想定される場合があります。このような場合に上記の補助人と同様に一定の法律行為を選択し、保佐人に追加的に代理権や同意権・取消権を別途与えることができます。

これにより、本人の状況に応じた保護が可能となります。

民法第13条に定められた法律行為とは?

民法第13条に定められた法律行為とは?

「後見」の詳細

対象となる方

支援を受けても、契約等を理解し、判断することができない方

  • 重度の認知症と診断された方
  • 意識がなく寝たきりの方
  • 重い知的障害、精神障害をお持ちの方など

後見人の役割

  1. 原則的にすべての法律行為を本人に代わり後見人が行います。
  2. 本人は日常家事にかかわる行為(パンや牛乳を買う)はすることができます。
  3. 後見人は全面的に本人の財産を管理することになります。ただし、居住用の不動産の処分については、裁判所の許可を得たうえでなければすることはできません。

3つの類型【補助・保佐・後見】に共通すること

後見人等の仕事

後見人等は1年に1回程度裁判所に報告書を提出し、本人の財産状況や心身の状況、後見人等のした仕事について報告しなければなりません。
また、この報告と同時に後見人等は裁判所に報酬付与の審判を申し立てることができます。

後見人等の心構え

後見人等は本人の財産を管理するにあたっては、本人の生活や利益のためにのみ財産を使うことを原則とします。
したがって本人の財産の支出にあたっては、帳簿つけや領収書の保管、日誌等をつけることが必要です。
また、本人の意思が確認または推認できる限り、本人の意思を尊重して職務にあたるものとします。

監督人の選任

裁判所は必要に応じて補助監督人、保佐監督人、後見監督人を選任することができます。
これら監督人は、後見事務等を監督します。また本人と後見人等との間で利益が相反する場合に、
その行為について後見人等に代わり本人を代理します。

利益相反の例

  • 本人と後見人が、ともに共同相続人で遺産分割協議を行う場合
  • 後見人等と本人との間で金銭などの貸し借りをする場合
  • 後見人等と本人との間で契約(売買契約等)を締結する場合
  • 後見人等の債務のため本人が担保権を設定する場合 etc

法定後見制度を利用する場合の手続き

申立て

本人の住所地を管轄する家庭裁判所に後見等の開始の審判を申し立てます。

申立てができる人

本人、配偶者、4親等内の親族(親、子、兄弟姉妹、おじ、おば、おい、めい、いとこなどをいいます)、
特別な事情があるときには市町村長も申し立てることができます。

最初にすること

医師の診断のための補助資料となる「本人情報シート」を、福祉関係者(ケアマネージャー・相談員等)に書いてもらいます。
福祉関係者の支援を受けていない場合など提出が難しい場合は不要です。「本人情報シート」をかかりつけの医師に提出して、
後見等申立ての専用の診断書を書いてもらいます。(診断書は、家庭裁判所のホームページからダウンロードできます。)

後見人等の候補者を決めます

後見人等は原則として裁判所が職権で選任します。
しかし、事実上申立ての際に後見人等にふさわしいと思う方を届け出て、
その人について裁判所が調査し問題がなければその人を選任します。
予め後見人等の候補者を決めておけば選任までの時間も短縮できます。
ただし、親族間に争いがある場合、財産管理が複雑なときは、
司法書士、弁護士、社会福祉士など専門職の後見人が選任されることがあります。

後見人等にふさわしくないと思われる方

  • 高齢、病弱で体力に自信がない方。
  • 多額の借金を有している方(住宅ローン等は除く)。
必要な書類をそろえ申し立てます

必用書類チェックリスト

右にスクロールできます

必要書類チェックリスト

裁判所の調査

申立てがあると裁判所が本人の状況や家族の事情、後見人等の候補者がふさわしいかなどについて調査します。

鑑定

本人の判断能力について医学的見地から原則として鑑定が行われます。

  • 補助開始の審判については原則として鑑定はありません。
  • 後見開始の審判については、診断書の記載、本人との面談、
    親族などからの事情をお聞きした範囲で裁判所が鑑定を不要と判断すれば鑑定は省略されます。

審判の決定

後見開始等の審判がなされると申立人、本人、後見人等となった人に審判書が送付されます。
送付されて不服申立てがなく2週間が経過すると審判が確定し、裁判所から後見等の登記が法務局に依頼され登記がなされます。
登記がなされると後見人等は、法務局に申請して登記事項証明書の交付を受けることができます。

選任審判書・登記事項証明書

後見人等の仕事開始

選任された後見人等が先ずやることは、本人の財産を調査することと財産目録の作成です。
そのために以下のものを準備しましょう。

  • 登記事項証明書(東京法務局又は管轄法務局(支局・出張所を除く))
  • 後見人等の印鑑証明書及び実印
  • 本人のために後見人が使用する認印
  • 後見人等の身分証明書(運転免許証等)

用意ができたら、本人の住所地の役所や金融機関などに届出をし、財産の調査を開始します。

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